配信概要

 ■配信期間: 令和5年6月19日13:00(月) ~ 7月14日(月)16:00
 ■方  式:オンデマンド配信(ビデオ配信)
 ■主  催 : 全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会実行委員会
       (実行委員長:国土交通省水管理・国土保全局砂防部保全課 土砂災害対策室長 吉野 睦)

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【目次】

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  1. 発注者による講演(北陸地方整備局)
  2. 発表論文(直轄砂防事務所)
  3. 発表論文(都道府県)
  4. 有益な取組み事例
  5. 主催者挨拶(砂防部長 三上 幸三)
  6. 論文選考委員長講評(政策研究大学院大学 教授 小山内 信智)
  7. 砂防図書館へ論文寄贈
  8. 研究発表会の総括
  9. 表彰式
  10. 実行委員並びに論文選考委員
  11. ご意見・ご感想

論文集

本研究発表会の論文集が必要な方は下記の画像をクリックしダウンロードをしてください。

発注者による講演

北陸地方整備局 河川工事課長 万行 康文

論文発表(直轄)

村上土建開発工業株式会社 現場代理人 内田 滋之【帯広河川事務所 発注工事】

東海建設株式会社 現場代理人 角田 英輔【苫小牧砂防海岸事務所 発注工事】

株式会社相模組 監理技術者 荒井 良太【松本砂防事務所 発注工事】

株式会社白鳥建設 現場代理人 小左 大人【富士砂防事務所 発注工事】

株式会社堀組 監理技術者 谷口 文章【紀伊山系砂防事務所 発注工事】

株式会社栗本 監理技術者 堀尾 謙太【広島西部山系砂防事務所 発注工事】

論文発表(都道府県)

渡辺建設株式会社 監理技術者 佐藤 和則【栃木県 宇都宮土木事務所 発注工事】

株式会社ハイ・テックス 現場代理人 田中 彰【魚沼地域振興局 発注工事】

有益な取組事例の紹介

【二子沢下流砂防堰堤その4外工事・二子沢地区ヤード整備外工事】
北陸地方整備局 湯沢砂防事務所 発注工事
株式会社笛田組

主催者挨拶

 皆さん、こんにちは。砂防部長の三上です。本日は、全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会に、御参加いただき、感謝申し上げます。 
 また、日頃より砂防関係工事等の安全施工を始め、事業の推進に、ご尽力いただき、厚くお礼を申し上げます。

 本発表会は、平成8年12月6日、長野県と新潟県を流れる姫川の支川蒲原沢において発生した土石流により、当時、災害復旧工事に従事されていた14名の方が犠牲になられた『蒲原沢土石流災害』を教訓として実施してきております。

 この災害を契機に、労働安全衛生規則が改正され、土石流が発生する恐れのある渓流等で建設工事を行う際には、土石流の発生を考慮した安全対策を行うことが規定されています。
 特に、地形等の現場条件が厳しい砂防工事においては、現場にあった安全対策と創意工夫が欠かせません。このため、砂防関係工事の現場における建設労働災害の根絶を目指し、
 ・他工事の安全対策技術の情報共有化による技術向上
 ・発表者と参加者との意見交換による技術向上
等を目的に、各工事現場で取り組んでいる安全対策の発表会を平成11年度から毎年実施してきております。また、平成26年度からは、『土砂災害防止月間』の行事として位置付けました。

 本日の発表会では、全国から応募のあった418編の「令和4年度に行われた砂防関係工事に関する論文」の中から、選考委員会で選ばれた8つの優秀論文について発表を行います。また、有益な取り組み事例として同じく選考委員会で選ばれた1つの論文についてご紹介いただきます。お忙しい中で論文を作成し応募して下さった皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

 最後に、本発表会の開催にあたり、実行委員会や論文選考委員会にメンバーとして参画いただいた『小山内政策研究学院大学教授』をはじめとした皆様方に絶大なご尽力・協力を頂きました。改めて、感謝申し上げる次第です。

 本日の発表会が、将来の砂防関係工事の安全な実施と実現に資する 有意義なものになることを祈念し、開会に当たっての挨拶とさせて頂きます。本日はどうぞ、よろしくお願いいたします。

国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部
砂防部長  三上 幸三

論文選考委員長講評


 本日は工事安全施工研究発表会に大変多くの方に参加いただきまして、ありがとうございます。今回の論文選考につきましては、三上砂防部長の挨拶にもありましたが、400件を超す非常に多くの研究成果の中から選ぶということで、いずれの論文も非常に創意工夫のあったすばらしいものでした。その中からあえて選ばせていただいたということになります。

 内容的には大きく分けて2つの方向性があるのかなと思っております。
 一つは最新の技術を導入することによって、さまざまな情報を速やかに関係者の間で共有し、その結果、危険を回避するというもの。
 もう一つは、新規技術を導入するかどうかにかかわらず、現場で非常に大変な苦労をされている部分を何とか工夫し改善していき、結果的にそれが安全施工につながるというもの。
 特に感じたのは、3~4年前にIT化の波が押し寄せたという感じを受けていますが、そのころはどちらかというと大手の業者さんが試行的に現場に取り入れるというような感じでした。
 論文もどちらかというと、大手の業者さんの独壇場という感じでしたが、それが現在では、かなり多くの業者さんにその技術が伝わり、ごく普通に安全管理に使われているという意味でも、この研究発表会で先進的な技術を紹介するということで一気に現場での安全確保体制に浸透させることができていると感じております。

 また、この研究発表会は平成8年の蒲原沢の災害を契機にしていますが、その災害ときっかけとなったその前の年の平成7年の北信越災害では、私は当時土木研究所にいた関係で、平成7年時点から何度も現場に行きました。
 蒲原沢についても当時危険かどうかわかりにくく、非常に山奥の険しい谷で人が入っていくということはほとんど不可能な状況であったため、当時危険かどうかわかりにくく結果的に状況を必ずしも詳細には把握できないままに復旧工事を進めている状態でした。
 もちろん、空中写真などでは確認をしていましたが、情報の少なさの中で工事をせざるを得なかったのだと今から振り返ると感じております。
 極力、不安な部分を払拭するためにも、新たな技術・新たな工夫をすることで、現地での事故が少なくなるように祈念して簡単でございますが、選考のご報告とさせていただきます。

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。

全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会論文選考委員会 論文選考委員長
国立大学法人 政策研究大学院大学 教授 小山内 信智

砂防図書館へ論文寄贈

砂防図書館長
石川 芳治 殿

令和5年度
全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会
論 文 寄 贈

 砂防関係工事を担当いただいている全国の現場代理人等の方々は、現場の安全管理を最重要課題として、日々、安全施工技術の研鑽に努められ、国民の命と暮らしを守る砂防関係工事の完成に向けてご尽力されています。

 このような取組の成果として、令和4年度は全国の安全協議会等が主催する研究発表会に、研究論文として計418編(うち、都道府県より8編)の応募がありました。これらの論文は、現場代理人をはじめとした現場に携わる技術者の皆さんの努力の賜物であります。

 今般、将来の砂防関係工事の安全施工管理を担う方々にとって参考となることを願い、全国から応募された論文を取り纏めましたので、砂防図書館に寄贈させていただきます。

令和5年6月9日
国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部
砂防部長  三上 幸三

過年度の論文につきましても砂防図書館へ寄贈しております。

砂防図書館長コメント

 皆様こんにちは、本日発表会にお集まりいただきましてありがとうございます。
 また、今回皆様の発表される論文集をサポートし、ご寄贈をいただきましてまことにありがとうございます。
 平成10年から論文集を毎年いただいており、砂防図書館では大事に保管し、皆様にご利用に寄与したいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 今回の発表される論文集を見させていただきましたが、最近のデジタルトランスフォーメーション関係であるICT等の論文が多く、それを皆様使いこなし、安全施工にも役立てておられているようで大変感心しております。
 このような新しい技術を活用し、安全な現場をつくっていただければと思っております。

 また、砂防図書館では砂防関係のこれまでの文献や資料、報告書等を約4万冊集めております。
 砂防図書館は砂防会館別館3階にありますので、もし近くにいらっしゃった場合にはお立ち寄りください。
 また、遠方の方で必要な本等がございましたらお申しつけください。探して、コピー等でお届けしたいと思っております。
 ぜひ皆様の仕事の役に立てばと思っていますので、お願いいたします。今後ともよろしくお願いいたします。

砂防図書館課長 石川 芳治

研究発表会の総括

 受賞者の皆様、発表ありがとうございました。
 それでは、今年度の研究発表会の「総括」を申し上げさせていただきます。

 村上土建開発工業株式会社の内田様の現場ですが、衛星通信設備により通信環境を確保し、WEBカメラによる現場監視、遠隔臨場の実施などを可能にしました。
 また、UAVを利用して作成した3Dモデルにより危険箇所を事前に把握するなど、DX技術を取り入れた安全管理や働き方改革に大きく寄与する取り組みでした。
 通信環境の整備によって得られたメリットについて、大変分かりやすく説明されました。

 東海建設株式会社の角田様の現場は、谷形状の起伏ある急斜面ですが、地上レーザースキャナを用いて3次元測量を行い、発注図と重ねて仮設計画の検討に活用し、マシンコントロールのICT建機による掘削にも活用し安全な施工に取り組みました。
 また、設置した小型気象計のデータや定点カメラ映像をネットを介してリアルタイムで把握し、現場の安全管理を行っています。
 働き方改革や担い手確保に寄与するICT機器の活用について、大変わかりやすく説明されました。

 株式会社相模組の荒井様の現場では、帯工の補修工事において巨石の設置やコンクリート打設時の安全な施工を行いました。
 安全な吊り方の選定やワイヤー引き抜き時の巨石の転倒防止など、作業を安全かつ容易にした工夫を行っています。
 コンクリート打設時のクレーンの死角を補う定点カメラを設置し、LIVE動画をオペレーターがタブレットで確認しストレス軽減に役立てています。
 これらの創意工夫は、他の工事に対しても有益な知見を与えるものでした。

 株式会社白鳥建設の小左様の現場では、地すべり対策の深礎杭という狭小な施工空間で、吊り荷の飛来落下防止として補助吊具による二重の対策や、地上にいるクレーンのオペレーターが杭内の状況を視認できるシステムを構築して死角を補っています。
 配筋図の3次元モデルを製作して危険が予想される作業を事前に把握し、工法変更の協議を行うなどCIMを活用しています。
 これらの取り組みは、各地の地すべり工事において有益な知見を与えるものでした。

 株式会社堀組の谷口様の現場では、工事現場までの道路を工事車両が安全に運行できるよう車両運行管理システムを活用し、ドライバーに指示を出したり独自のハザードマップを作成しています。
 ヘルメットをノックし危険通知や作業合図が行えるヘルメットハンマーを取り入れ、騒音下での安全確保に取り組んでいます。
 延長が長い現場の作業状況の確認を容易とするツールやWEB監視カメラを活用し会社などからも現場の状況がわかるようにしています。
 ICT機器やシステムを効率的な安全確保に最大限活用した事例として、参考となるものでした。

 株式会社栗本の堀尾様の現場では、形骸化した取組を見直し作業員の安全意識を向上しています。
 デジタルサイネージを情報伝達に採用したり、作業員が必ず立ち止まるトイレに小型モニターを設置し、現場のルールや過去の災害事例等を流すなど、柔軟な発想で安全への意識付けを促しています。
 また、始業前点検にスマホアプリを活用するなど、デジタル化の取組は、作業時間の短縮にも寄与しています。
 発想を転換し形骸化したり慣れから起きる事故を未然に防ぐ取組として非常に有益なものでした。

 渡辺建設株式会社の佐藤様の現場では、複数の協力業者が混在する作業を効率的に行うため、3Dモデルに時間軸を加えた4Dシミュレーションを活用して施工計画を立案しています。
 また、3Dプリンタによるアタッチメントの自作なや、掲示板の多言語化や通訳機を配備し外国人労働者とのコミュニケーションを確保するなど工夫を重ねています。
 いずれも先進的な取組であり今後の利用が期待できます。

 株式会社ハイ・テックスの田中さんの現場では、重機の使用が困難な法面工における作業員の安全確保や効率の向上に取り組まれました。
 掘削土砂を直接ダンプに積み込むシュートや、昇降運搬装置を設置することで、資材運搬の省力化をはかっています。
 職人の意見を取り入れて改善するど安全行動を実現されています。
 今後も安全管理や省略化に向けた取り組みの方をお願いしたいと思います。

 いずれの論文、発表も現場に応じてテーマを定めて創意工夫に富んだ取り組みを行った事例であり、全国の他の砂防関係工事に従事する皆様、私たちにとって、参考にそして模範になるものでした。
 今後も発表会の取り組みを充実させ有益な取り組み事例を発信することで砂防関係工事の発展に寄与していきたいと思います。
 最後に、本発表会の開催にご助力を賜りました、小山内先生を始めとする論文選考委員会並びに実行委員会、事務局の皆さん、受賞者、参加者の皆さんにお礼を申し上げ、私からの結びとさせて頂きます。
 本日は、ありがとうございました。

全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会実行委員会 実行委員長
国土交通省水管理・国土保全局砂防部保全課 土砂災害対策室長  吉野 睦

表彰式

実行委員並びに論文選考委員

【実行委員会】

委員長 吉野 睦:国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部保全課 土砂災害対策室長
副委員長 大坂 剛:国土交通省 関東地方整備局 利根川水系砂防事務所 事務所長
( 監事 )
委員 吉村 元吾:長野県建設部砂防課 課長
委員 谷戸 雄紀:株式会社日刊建設通信新聞社 編集局記者
委員 大池 太士:砂防施工管理研究会 代表
委員 山本 悟:砂防施工管理研究会 事務局長

【論文選考委員会】

委員長 小山内 信智:国立大学法人 政策研究大学院大学 教授・博士(農学)
委員 吉野 睦:国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部保全課 土砂災害対策室長
委員 大坂 剛:国土交通省 関東地方整備局 利根川水系砂防事務所 事務所長
委員 吉村 元吾:長野県建設部砂防課 課長
委員 谷戸 雄紀:株式会社日刊建設通信新聞社 編集局記者
委員 山本 悟:砂防施工管理研究会 事務局長

【事務局員】

熊澤 至朗:国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部保全課 土砂・洪水氾濫対策官
利根川 哲朗:国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部保全課 急傾斜係長
廣井 幸治:国土交通省 関東地方整備局河川部 河川工事課 建設専門官
小曽戸 一弥:国土交通省 関東地方整備局河川部 河川工事課 砂防係長
酒谷 幸彦:砂防施工管理研究会 技術アドバイザー
大瀧 武:砂防施工管理研究会 幹事
萩原 弘:砂防施工管理研究会 事務局次長
長井 義樹:砂防関係コンサルタント懇話会 事務局長

ご意見・ご感想

6月19日~6月27日に受け付けましたご意見・ご感想を掲載いたします。

・厳しい施工条件の砂防現場で安全対策、施工方法等にIT技術を導入されており、その先進性に感心しました。

・参考になる発表をありがとうございました。 特に株式会社相模組の巨石据付時の落下防止対策については興味を持ちました。 今後も、現場従事者とコミュニケーションをとりながら、少しでも安心・安全作業につながるよう、皆で検討・対策していきたいと思います。

【お問合せ窓口】
 全国砂防関係工事安全施工管理技術研究発表会事務局
 (国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 保全課 急傾斜係)
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